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巻の六 国民の理解

 「君主はいわば天であり、臣下は地にあたる。天が地をおおい、地が天をのせている。(後略)」(17条憲法第3条)と異なって、国民の理解をお求めになった陛下のお姿、お言葉そしてその秘められたお想いに、国民は深く考えさせられた。そして国民の大多数は、譲位のご意向が恒久的制度として、早期に実現することを切に願っている。

 一方、「陛下による政治介入だ。」と批判したがる者に対し、我々国民は「全く逆である」と強調する。

 現行憲法に「天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴である。」と規定され、天皇陛下御自身も「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくこと」を望まれているなかで、安倍麻生とその手下自民党は、天皇陛下の背後で、陛下を「元首」とする企み草案を作成した。

 つまり、国民が天皇陛下を敬い、天皇陛下もまた、民主主義国家として主権を持つ国民の平和的な訴えを評価され、一つ屋根の下に相互理解があったそのなかに、安倍麻生自民党政権が、世界的に認められたわが国の在り方である「象徴天皇制」という陛下の領域に侵入してきたのである。特定秘密保護法案と戦争法案の強行採決を、屋敷の表座敷に押し入った連中が集まっていた国民を討ち踏みつけたことに例えると、陛下を元首としながら内閣の悪行の責任を陛下に擦り付けることを可能とする改憲草案を可決、成立させようとしていることはいわば、その狼藉者が今、陛下とともに日本国の幸のために尽力する国民が集う奥座敷にまで攻め込んできた、ことである。

 しかし、安倍麻生率いる内閣と自民党は来たる1月の選挙兼改憲投票に向け、波を立てずに最終段階に移ろうとし、既述のとおり、最後に巧みに陛下の御印をいただこうとしている。

 したがって、この新たな謀反の企てとその連中に対し、陛下は「ならん」と仰せられたのである。

 

 わが国の長い歴史をとおして肝心な時に表面化した根本的に異なる二つの力が、今回、このような形で衝突することには著しい意味がある。一方は、人としての質素な生き方を基本とする側であり、もう一方は、巧みに且つ頑なに人とその質素な生き方を己の利益のために利用しようとする側である。後者によって生じる力は、他者を後回しにするものであるため、その張本人らの内側で鉄のような硬さのものとなってしまう。これは、今回の一連の展開からも見て取れる。そしてそれは、質素に生きる人にとり、次のように、とてつもなく見苦しいかたちで表れた。

 譲位のご意向に関する最初の報道(本年7月13日NHK)を受けての内閣の反応は、なんと重ねて「生前退位は無理だ」という冷淡なものであった。さらに、陛下が6年前から譲位のご意向を宮内庁参与会議で示されていたなかで、具体的な進展が無かったことからも、現在82歳とご高齢でいらっしゃる陛下の譲位は、陛下の人権そのものである。

 ところが、譲位に関する議論において、象徴でいらっしゃる陛下の人権尊重が大前提であるにも拘らず、本年9月23日に内閣官房長官菅義偉が発表したように、本件を議論する有識者委員会の委員に「敢えて、皇室に無関係な人」を選任したこと(資料12)、及び、民意に反して戦争法案の可決を強く後押した組織である経団連(日本経済団体連合会)の元会長を同有識者委員会の座長にすえたことは、共に安倍内閣が陛下の願いを真剣に受け入れて進んでは決していないことを裏付けている。

資料12 菅義偉

 さらに、何千万人もの国民の生活を著しく苦しめ続けるあの年金問題が政府の責任であり、その史上初の不幸を招いた張本人が安倍晋三であるにも拘わらず、安倍は本年9月21日、日本社会の高齢化と人口の減少について、「重荷ではなく、ボーナスだ」との発言で国民を冷酷に嘲笑った。このような言動は、死んだ心を表している。

 また、陛下の譲位の件を議論する会議名に「譲位」や「退位」の言葉を含めず、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」としたことも、倫理的に許されるものではない。

 さらに、陛下のご意向に対する内閣のとてつもない硬さの代表例は、皇后陛下のお誕生日の本年10月20日に国民の耳に入った。つまり、参与会議の際に「譲位」のお言葉をご利用になった陛下に少しでも敬意を示すのではなく、敢えて、はるかに冷たい「生前退位」という言葉を使い出したことは、実に、故意の無礼であり、古からの言い伝えを思い出すべきもの。すなわち、人の道にたがう者に 残るは獣の道。

 わが国の歴史には、上に立とうとした連中、つまり隣人を利用する姿勢の者どもが、やはり国民全体の幸を考えなかったことが刻まれている。そして、わが国家はまさしく、1424年前に蘇我一族が崇峻天皇を殺してしまったあのクーデターから、占領されつづけてきているが、もはや、不正は限界に達した。

 このまま流れどおりに進むのであれば、我々国民は、心の死んだ政府の硬さにより、これまで受けたことのない害を被ることになるであろう。集団的戦闘義務によって、アメリカの戦場に駆り立てられることになった場合、我々国民の息子や娘たちが、何千人、何万人規模で招集され、アメリカの新兵器による人体実験の人材として利用され、苦しめられることは目に見えている。広島と長崎の原爆投下が人体実験であり、そのケロイドに苦しむ国民に特効薬などを教えることなく、長年にわたり彼ら患者の容体や症状のデータを冷淡に収拾し続けたこと同様に、今度は、生物化学兵器、レーザー兵器、電波兵器、様々な光線兵器などの新型兵器を使った人体実験が、我々を待ち受けている。

 しかし、諦めてはならない。

 そして、油断してはならない。この歴史的衝突のなかで腹を決め、国民としての主権を実行しようではないか。

 主権者たる我々国民は、特定秘密保護法案の際にも戦争法案の際にも十分明確に表明したその根本的反対同様に、今回、

日本国民統合の象徴でいらっしゃる天皇陛下がお示しになった

その「ならん」を

我々の「ならん」とする。

 我々は主権を持つ国民の名で、このホームページをもって、安倍晋三、及び、麻生太郎をはじめとするこのアメリカ追従政界に、次の内容を強調する。

 憲法第一条「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。」にいう、日本国民の総意は「天皇陛下の譲位のご意向をすぐに実現して差し上げたい」である。つまり、我々国民は、摂政を置くこと、「公務の負担軽減」や「特例法(一代限り)」といった「ハルノート」や「要望書」のような「条件付き」のものには、断固として反対である。

 したがって、天皇陛下の譲位のご意向を無条件に直ちに現実化させよ。

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